朝倉さんの歌には彼女の気質がさりげなく出る。
息細る母に「山がきれいね」と言いたり
ほかにはなにも言えずごめんね
破調も会話体も彼女の個性をしんと読者に伝える。
歌は特別なものでなく、いつもそこにある。
――歌人・足立晶子氏推薦。
学生時代、禅学の大家・鈴木大拙の著作や禅の語録に親しんだ著者は、学問だけでは足りないと感じ、臨済宗寺院で得度し雲水となって各地の僧堂(専門道場)、曹洞宗の道場で研鑽を重ねる。本書ではまずそこで巡り会った老師たちとの関わりや道場での実体験が描かれる。
抗いがたい血のさだめにより、思春期に心を病んだが、医学部合格を目指すとの自己治療的試みにより、何とか脱却できた著者の半生を描いたエッセイ。
過酷な闘病の末、空へ旅立った著者の世界の最終章となる詩集。