<あらすじ>
そして箱館は開港した。
江戸と変わらぬ近代都市であった。松浦武四郎同様、堀織部のアイヌ撫育政策によって、ようやく古来の民族たちと和解が成立する。私領松前とはいえ幕府直轄との二転三転の末の復領、再知上し弱小藩の統治能力に疑念と不審を抱く幕府による隠密の見聞が任であったのだろうか。
厳寒の寿都。村垣範正は、ここで年を越す。
現実の世界では、アキレスは亀に追いつくのであるが、いや追いつけるはずはないとするゼノンの背理にも論理の瑕疵はない。どちらも正しい。また、原子、分子で構成されているという現実世界はゴツゴツしたフラクタルの世界であるはずなのだが、なめらかな微分積分で記述されている。この矛盾をどう考えるか?
情報統合省の日高義彰は国立公園の管理人に扮し、
テロリスト組織ブルー・ポニーの殺害を企ててきた。
部下の裏切り、元婚約者との再会と永遠の別れ、
国家とテロリストの果てしない不条理な殺人ゲーム……
両親ともに超能力を持つ家に生まれた山本開(かい)は、守護霊や植物の精霊と会話ができる男の子。
ある日見た不思議な夢をきっかけに、超能力を育成する特別な高校に入学を決めた。