吉尾健太郎の幻想短編集。表題作に加え、「ワンダーランド」「エデンの園」「エンピツ君物語」「仮想酒場」の4篇を収録。
佐田塔子は中堅広告会社に勤めるアラサー女子。年下彼氏との結婚を夢見ているが中々ゴールイン出来ないでいる。
そんなある日、塔子は小さい頃から好きだった絵本作家の絵画展に出掛ける。
そこで彼女は「菊の庭」の絵と出会う。
水仙の花言葉は、うぬぼれ・自己愛。
うぬぼれ、というと、悪い意味のようですが、
自分を知って、あるがままを愛することは、自分らしく生きるために、誰にでも必要ことです。
それぞれがそれぞれの心のよりどころを求めて、
居心地のよい場所を求めて、
それぞれの世界を生きている。
幕末、無城大名蠣崎家の領地、蝦夷に城が建った。この歓喜のさなか一隻の軍船が長崎に出港した。難破したアメリカ乗組員を護送するためだった。そこに若い医師が乗船したのは春の頃。日本海を三か月で渡る安穏な旅路だった。ところが傷を負った黒人が縊死したことで一変する。