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いつわらざる蒼海
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迫真の時代小説!その護送船は滅びるために出港した。
幕末の医師・熊坂蘭歩の運命は海原だけが知っている。

いつわらざる蒼海

¥1,045 (税込)

楓しゅん

四六判・72頁(ソフトカバー)

ISBN 978-4-86522-431-3

2024年12月発行

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幕末、無城大名蠣崎家の領地、蝦夷に城が建った。この歓喜のさなか一隻の軍船が長崎に出港した。難破したアメリカ乗組員を護送するためだった。そこに若い医師が乗船したのは春の頃。日本海を三か月で渡る安穏な旅路だった。ところが傷を負った黒人が縊死したことで一変する。

だがそれは若い医師が見かねての絞殺だった。偽装を施したのだった。数日後、それを目撃した侍が海に転落死した。これは従事する足軽の長年のルサンチマンによる毒殺だった。「海は神の口、沈黙してくださる」と嘯くが蝦夷地を統治する負の縮図でもあった。

やがて長崎に近づく頃、半島の海賊船に襲撃される。明らかに幕府の隠滅するための工作であった。鎖国とは徹底した異国人の排除であり、それに憤った若い医師は渡米を決意する。  
晩秋、軍船があたかも幽霊船のように戻ってきた。  
曳航するようにペリーの黒船も箱館に現れたのである。

著者紹介

楓しゅん
京都芸術大学で文芸を学ぶ。札幌大学卒業。大阪芸術大学文学教授、長谷川郁夫の文章教室にも通い、文集をアマゾン発売する。2018年 さっぽろ市民文芸優秀賞受賞。2022年 銀河文学賞佳作。