幕末、無城大名蠣崎家の領地、蝦夷に城が建った。この歓喜のさなか一隻の軍船が長崎に出港した。難破したアメリカ乗組員を護送するためだった。そこに若い医師が乗船したのは春の頃。日本海を三か月で渡る安穏な旅路だった。ところが傷を負った黒人が縊死したことで一変する。
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――ときは戦国、ところは南都!
興福寺の僧で、後に十文字槍を考案する中御門但馬守胤永が次男・胤栄と、筒井城城主で興福寺官符の衆徒、後に大和国を席巻する筒井順昭のふたりを主人公に、彼らを取り巻く個性豊かな人物たちが物語を展開していく。
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「昔々ある国に、たいそう可愛らしくそして一風変わった不思議なお姫様が生まれました。ふつう物語というものはここから始まるのですが、困ったことにこの物語はそこから先、ちっとも進まないのです。