洋画家の歌楽は、旅行先の高山で偶然入ったラーメン店で、旧友川東とその妻文絵に遭遇する。
35年前、歌楽は雪のように白い肌をした芸者雪野に出会い、出世作『雪に生きる女』を描いた。
その雪野こそ、あの頃と変わらない美貌を保つ文絵だった。
『森のカフェでCoffee Break Ⅰ』、『森のカフェでCoffee Break Ⅱ』を手掛けたメイ・Kによる2年ぶりの新作。
あたたかく、どこか不思議で人間味あふれる中短編小説5編と、著者自身の体験をもとにした「とはずがたり」2編を収録。
38年のサラリーマン人生、顧みれば二度のリストラまがいの憂き目に遭い、部下がたった一人の課長職がピークだった。
決して自慢できる職歴ではないが、与えられた運命に従い、勤めを無事全うしたひとりの男の物語。