現実の世界では、アキレスは亀に追いつくのであるが、いや追いつけるはずはないとするゼノンの背理にも論理の瑕疵はない。どちらも正しい。また、原子、分子で構成されているという現実世界はゴツゴツしたフラクタルの世界であるはずなのだが、なめらかな微分積分で記述されている。この矛盾をどう考えるか?
情報統合省の日高義彰は国立公園の管理人に扮し、
テロリスト組織ブルー・ポニーの殺害を企ててきた。
部下の裏切り、元婚約者との再会と永遠の別れ、
国家とテロリストの果てしない不条理な殺人ゲーム……
両親ともに超能力を持つ家に生まれた山本開(かい)は、守護霊や植物の精霊と会話ができる男の子。
ある日見た不思議な夢をきっかけに、超能力を育成する特別な高校に入学を決めた。
スクランブル交差点を、もはや老人とも言える痩身の大男が、スーツ姿で左手にビジネスバッグを提げ右足をわずかに引きずるようにしながら、漂うように歩いていた。
男を取り囲む人々の大群は、皆一様に前かがみにまるで力ない兵隊の行進の様だった。