吟遊詩人、浮浪者、妖精、戦から逃げる家族 さまざまなひとたちの、さまざまな場面をきりとった 珠玉のファンタジー小品集
太平洋戦争末期の新潟県長岡市。 空襲による猛火の中、 女学生・浅田コウは 台湾人日本兵の中村常雄に命を救われる。 初めて会った瞬間に二人は恋に落ちるが、 時代はそれを許さなかった……。
私はどこに居ればいいのか。 幼少期に根付いた孤独感。永遠の迷い子。 光と闇の中で、伯父の存在だけが一本の命綱だった。
勝った負けた、強い弱いといった 実体のない無常の世界を超えて、 真実の世界を目指した一青年の苦闘の物語。
「やぁーっ!」気合いを入れて刀を振り下ろす。 「少年剣士」と呼ばれるなつかは元気で明るい小学4年生。 ある日、「『なつか』って名前、好き?」と、 なつかはお母さんにたずねた。両親がつけた名前ではないからだ。 乳児院からもらわれて家族になった時には、もう「なつか」という名前で呼ばれていた。