初めての公式戦ファイブファールで退場となり大敗した。試合後、体育館から出てきたアキラが、「あかんかった」と言う苦しそうな一言を聞いて、私は溢れる思いを抑え切れなかった。気がつくと腕を大きく広げ、アキラをそっと抱きしめていた。どんな言葉をかけたらいいのだろう。慰めの言葉、励ましの言葉、何も浮かばない。黙って両手でただ抱えているだけだった。
32年間の光秀研究による、初めて明かされる本能寺の変と山崎の戦の謎を描いた歴史小説。民を想うが故に、自らを省みない人々をも救おうとした老将とその子供達の運命を描いた新説の衝撃作品!