シュールなイメージにあふれたメキシコ神話の世界
¥1,650 (税込)
著者 松川孝祐
イラスト 杉浦暖子
四六判変形・64頁(ハードカバー)
ISBN 978-4-939061-33-2
2010年10月発行
コパラ・トリキ語(Copala Triqui)はメキシコのオアハカ州で話されている言語のひとつで、オトマンゲ語族(Otomanguean)のミシュテク語系(Mixtecan)に属している。現在の話者数は、約30,000人と報告されている。
最近まで書き言葉の無かった言語ではあるが、言語学者のバーバラ・E・ホーレンバッフ(Barbara E. Hollenbach)のスペイン語の表記法に基づいた正書法を基に、言語学者の間では統一された正書法が確立しつつある。
コパラ・トリキには、いくつかの口承の神話が存在している。その有名な神話のひとつが、太陽と月の神話である。太陽と月の神話は中米の様々な地域でみられるが、コパラ・トリキの太陽と月の神話については、ホーレンバッフ(Hollenbach 1977)が四人のコパラ・トリキ語話者がそれぞれ語ったものをスペイン語訳とともに発表している。この四人の話は、話の長さや内容にばらつきが見られる。また、ブロードウェル他(Broadwell et al. 2009)もホーレンバッフの各物語よりも長い話をロマン・ヴィダル・ロペス(Romn Vidal Lpez)から記録し、英語訳、スペイン語訳とともに出版している。
本作では、筆者も執筆したブロードウェル他(2009)の内容を基に、ホーレンバッフ(1977)の中の四つの話の内容とロマン・ヴィダル・ロペスがブロードウェル他(2009)では語っていない内容も加え、より正確な内容のコパラ・トリキの太陽と月の神話の再構築を試みたものである。
松川 孝祐 (まつかわ こうすけ)
ニューヨーク州立大学オーバニー校。
言語学者、人類学者。主にメキシコやグアテマラの中米言語を研究。興味は、音韻論、音声学、歴史言語学、トーン言語、危機言語の記録と保護、古代文字の解読、中米考古学、中米文化人類学など。
杉浦 暖子 (すぎうら あつこ)
多摩美術大学 卒業。
アーティスト。
水と水から生じるひかりや空気感をモチーフに描く。 ひとのこころの動き、ひとと人との間に生まれた水のように、はかなくちいさな感情を抽象的に表現している。