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医療における患者のチカラ 孤独・孤立を予防するコミュニティ
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医療・福祉・教育が交差する現場でのフィールドワークをもとに、超高齢社会における共生の可能性を考察。

医療における患者のチカラ 孤独・孤立を予防するコミュニティ

¥1,650 (税込)

細田満和子

四六判・204頁(ソフトカバー)

ISBN 978-4-434-35564-6

2025年4月発行

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本書は、病いや障がいのある人々がどのように社会とつながり、新たな役割を見出しながら生きるかを探る一冊です。患者会、ピアサポート、セルフヘルプグループなどのコミュニティが果たす役割に注目し、医療の枠を超えて社会全体で支え合う仕組みを考察します。

近年、医療において「患者」が単なる受け手ではなく、自立した市民・生活者として主体的に関わることの重要性が強調されています。患者・市民参画(PPI)、患者中心(Patient Centricity)、患者エンゲージメント(Patient Engagement)といった概念が注目され、病いや障がいを持ちながら生きる人々の活動が、他の患者にとって大きな支えとなることが明らかになっています。一方で、病気を抱えることで社会的役割を喪失し、孤独や孤立を感じることも少なくありません。こうした課題に対し、患者自身やコミュニティがどのような取り組みを行っているのかを詳しく紹介しています。

第1部では、患者会やピアサポートとは何か、それらの目的や活動内容、患者の悩みや希望、そして医療における「患者のチカラ」について解説します。病いや障がいのある人々がどのように他者とつながり、支え合う仕組みを築いているのかを、具体的な事例とともに紹介します。
第2部では、孤独や孤立を防ぎ、健康を守る「コミュニティのチカラ」に焦点を当てます。社会的処方(Social Prescribing)という概念にも注目し、薬だけではなく地域のつながりを活用することで健康問題に対応する方法について考察します。長期疾患を持つ人やメンタルヘルスの支援を必要とする人、経済的困窮や家族問題を抱える人などに対し、地域のネットワークがいかに支援を提供できるかを探ります。

また、「患者の旅路(ペーシェント・ジャーニー)」という視点から、病気の診断・治療・生活の再建・終末期に至るまでのプロセスを捉え、医療者・家族・地域がどのように関わっているかを考察します。その中で、「支え合いの仕組みを創る」ことの重要性を強調し、公的制度だけでなく、地域社会の力がいかに患者を支えるかを示します。さらに、医療者や患者・市民に必要な力として、「知援力」(支援を知る力)と「活援力」(支援を活用する力)を提案します。医療者が患者会や地域の活動を理解し、それを患者に紹介できるようになることで、患者の生活の質が向上します。患者や市民自身も、医療・福祉・介護制度を理解し、適切に活用する力を持つことが求められます。

本書は、病いや障がいがあっても誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指し、医療者・患者・地域社会がどのように協働できるかを示します。超高齢社会において、医療と地域の連携が不可欠であることを強調し、読者の皆様が支え合いの地域(ケアリング・コミュニティ)づくりの一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。

著者紹介

細田満和子(ほそだ・みわこ)
博士(社会学)。専門社会調査士。星槎大学教授、東京大学医科学研究所特任研究員。1992年、東京大学文学部社会学科卒業。東京大学大学院人文社会学系研究科で博士号(社会学)を取得、コロンビア大学公衆衛生大学院とハーバード公衆衛生大学院で患者アドボカシー研究に従事し、社会学をベースに、医療・福祉・教育の現場での諸問題を当事者と共に考えている。主著書に『脳卒中の社会学』(青海社)、『パブリックヘルス 市民が変える医療社会』(明石書店)、『チーム医療とは何か』(日本看護協会出版会)などがある。一般社団法人Inclusive Action For All代表理事、東京大学ニューヨークオフィス理事、一般社団法人脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会代表理事、アジア太平洋社会学会副会長などとしても活動している。