病院のアートが癒したのは、患者さんの心だけではなかった。様々メディアで取り上げられ大反響を呼んだ、あたたかいホスピタルアートの取り組み。
¥1,870 (税込)
中川義信、森合音
A5判・184頁(ソフトカバー)
ISBN 978-4-86522-330-9
2022年11月発行
四国・善通寺市に2013年に開院した国立病院「四国こどもとおとなの医療センター」は中国・四国地域の高度医療の中核を担う施設である一方、今までの日本の大きな病院では見られなかったホスピタルアートを取り入れた病院として知られています。
今まで、日本にはありえなかったこのような病院がなぜ出来上がったのか――、それは、「病気の人に必要なのは高度な医療技術だけではない」、「命のサイクルのすべてを見守りたい」という思いをアートにちりばめ、癒しに満ちた空間を実現したいと強く考えた病院長と、その思いにかたちを与えたホスピタルアートディレクターが存在したからです。
今も病院で続いている、あたたく、やさしく、希望に満ちたホスピタルアートは、患者さんの心を癒しただけでなく、そこで働く人たちや患者さんの家族、地域の人たちの気持ちを変えていくことになりました。
本著では、「なぜホスピタルアートを取り入れたのか」、「ホスピタルアートの実現と継続」から、「病院経営におけるアートの位置づけ」に至るまで、実践的に記しています。アートやデザインを学びたい人、医療に関わる人、公共の施設を考える人、社会における新しい空間を目指すすべての人に、是非読んでいただきたい一冊です。
■中川義信(なかがわ・よしのぶ)
四国こどもとおとなの医療センター名誉院長。脳神経外科医。2003年国立療養所香川小児病院院長、2013年善通寺病院との合併により開院した四国こどもとおとなの医療センター初代院長。香川小児病院時代から病院環境の改善に取り組み、森合音をアートディレクターとして雇用し、四国こどもとおとなの医療センターというホスピタルアートで知られる病院環境を実現させるなど、国立病院としては珍しい試みを行った。
■森合音(もり・あいね)
四国こどもとおとなの医療センター専属アートディレクター、特定非営利活動法人アーツプロジェクト理事長。1972年徳島県生まれ。1995年大阪芸術大学写真学科卒業。2003年、心筋梗塞で夫を亡くした後、遺されたカメラでふたりの娘の日常を撮った『太陽とかべとかげ』で2005年富士フォトサロン新人賞を受賞。2005年に「Edge―境界」でエプソンカラーイメージングアワード・エプソン賞受賞。2008年より香川小児病院、2013年の統合により四国こどもとおとなの医療センターでアートディレクターを務める。