明治期創業の宗教専門新聞社で社長を務めた著者が、若き禅の修行僧時代に仏教の原点を求めて旅をした1970年代の記録
¥1,320 (税込)
大髙住夫
四六判・156頁(ソフトカバー)
ISBN 978-4-86522-351-4
2023年7月発行
高度な現代文明と原始性が共存する多様性の国、インド。本書は、約2500年前にこの地で仏教を開いた釈尊を追慕し、単身日本を発った禅の修行僧による旅の手記。
インターネットや携帯電話はなく、情報を得る手段が乏しかった1970年代後半、治安の不安定なインドの旅は常に危険と隣り合わせであった。著者は仏教の四大聖地を巡拝する道中で、カースト制度と宗教の規範が隅々まで行き渡っていたインド社会の現実もつぶさに見つめる。
一方、隣国スリランカでは、インドで既に衰退した仏教が国民の精神に深く根づいていた。僧は篤く敬われ、厳格な戒律に基づいて生活している。スリランカと日本の仏教の隔たりを身をもって体験した著者は、釈尊が求めたものは何かについて、思いを巡らせる。
大髙住夫(おおたか・すみお)
1949年、静岡県生まれ。早稲田大学第一文学部(東洋哲学専攻)卒業後、静岡県浜松市の臨済宗方広寺派大本山方広寺僧堂(藤森弘禅管長・師家)、京都府京都市の曹洞宗安泰寺禅道場(内山興正老師)、同八幡市の臨済宗妙心寺派円福寺僧堂(西片擔雪老師、後に妙心寺派管長)で雲水(僧名・玄宗)として禅を修行した。その後、宗教専門紙を発行する中外日報社に入社、記者として仏教、新宗教、キリスト教、学術分野を担当。同社の取締役に就任し、専務、社長、会長を歴任した。