青年期に禅の雲水を経験し、歴史ある宗教専門新聞社で記者から社長となった著者が40年間に巡り会った忘れ得ぬ仏教者たちの回想録
¥1,650 (税込)
大髙住夫
四六判・278頁(ソフトカバー)
ISBN 978-4-86522-433-7
2025年1月発行
学生時代、禅学の大家・鈴木大拙の著作や禅の語録に親しんだ著者は、学問だけでは足りないと感じ、臨済宗寺院で得度し雲水となって各地の僧堂(専門道場)、曹洞宗の道場で研鑽を重ねる。本書ではまずそこで巡り会った老師たちとの関わりや道場での実体験が描かれる。
その後、1970年代後半に仏教発祥の地インドとスリランカの巡礼を経て、著者は僧堂での修行に区切りをつけ老舗宗教新聞の記者となり、実社会で諸宗派の僧侶、学者たちと出会う。仏教という共通性の中でそれまでの禅修行の体験を生かしながら、取材・執筆を通してさまざまな縁を深めていく。
さらに、僧侶らと一体となって企画から関わった旅行団に幾度も随行し、かつて仏教伝来に際し日本に大きな影響を与えた中国や東南アジア諸国、またキリスト教国を訪問。宗教交流や日本仏教の振興、戦没者の慰霊と平和祈願に尽くす僧侶たちをルポ記事で報道した内容も紹介する。昭和から平成にかけて活躍した名僧たちの貴重な生きた記録である。
大髙住夫(おおたか・すみお)
1949年、静岡県生まれ。早稲田大学第一文学部(東洋哲学専攻)卒業後、静岡県浜松市の臨済宗方広寺派大本山方広寺僧堂(藤森弘禅管長・師家)、京都府京都市の曹洞宗安泰寺禅道場(内山興正老師)、同八幡市の臨済宗妙心寺派円福寺僧堂(西片擔雪老師・後に妙心寺派管長)で雲水(僧名・玄宗)として禅を修行した。インド、スリランカ巡礼後、大分県大分市の万寿寺僧堂(西尾宗滴老師)で雲水修行。その後、宗教専門紙を発行する中外日報社に入社、記者として仏教、新宗教、キリスト教、学術分野を担当。同社の取締役に就任し、専務、社長、会長を歴任した。著書に『インド、スリランカ巡礼――ある雲水の旅の手記』(パレード、2023年7月)。