旅のはじまり。途中。
雨の音は厳しくて、優しい。
迷いや焦りはそっと置いて、ふと見上げれば探していたものが見つかるはず。隆志と雨音が旅に出て見つけたもの。ただただ心をこめて書かれているのは、伝えたいあなたへの想い。
映画と雑誌の日々を送る大学三年生の柘植は、いつものように喫茶ジーニアスのドアを開けた。モーニングセットのプレートを差し出したのは、切れ長の目をした、人懐っこすぎるウエイトレス。作り笑いの裏に隠された女の正体に柘植は次第に魅かれていく。
暴かれる女の過去。そしてふたりは、逃げた――。