人体が練り込まれたインキの謎を追え!?
弁理士探偵羽生絹シリーズ第3弾。
¥990 (税込)
川嶋秋月
四六判・266頁(ソフトカバー)
ISBN 978-4-434-34005-5
2024年6月発行
岡山インキで万能水性インキを開発していた研究者平尾は、部下の中村と共に万能水性インキのテスト品を造った直後に消息を絶ち、不可解な脅迫状が送られてきた。
警視庁捜査一課の女刑事・哲子は、山中刑事と共に岡山インキに駆けつけるが、脅迫状の内容に驚く。平尾の解放条件は、「翌日の午前零時までに万能水性インキの内容を自社のホームページに公開せよ」ということだった。
絹は、岡山インキの依頼を受け、何とか短時間で特許書類をまとめ、時間内に出願する。
公開された内容でインキを作成したものの、インキの性能が悪かったとして、平尾を殺害し、遺体を練り込んだインキで落書きと印刷をするというという手紙が送られてきた。
中村は、落書きインキの性能が極めて高いことを突き止め、人体のある成分を混ぜた万能水性インキを開発する。
しかし、中村の父が東尾印刷で起きた公害事件の被害者で、平尾の旧友松山教授が会社側の鑑定をした事実を雑誌記者樽井がスクープした。
そのため、中村が犯人と疑われ出すと、中村に不利な証拠も多く見つかり、逮捕目前となる。
そのとき、絹は万能水性インキが完成したと知り、前回出願の優先権を主張した新たな万能水性インキの特許出願を勧める一方、中村の苦境を知る。
絹は、過去に警視庁顧問だった実績を活かし、哲子の反感を受けながらも、事件の捜査に加わって、インキに二人のDNAが存在していると推理し、驚くべき真相を解明する。
川嶋秋月
1944年大阪府に生まれ、大阪大学工学部精密工学科卒業。電気系会社で生産技術や開発を担当した後、国内特許事務所に入所して特許業務に携わる。その後独立し、特許事務所を自営しながら、弁理士会の役員、弁理士試験委員を歴任し、充実した弁理士生活を送った。
そして、人生の集大成として、退路を断つべく特許事務所を廃業し、少年時代の夢だったミステリー作家に挑戦。この作品は、「服を纏った白骨」、「雪女の時空方程式」に続く、弁理士探偵シリーズの第3弾です。